瞼の構造を知ろう
眼瞼下垂の状態や治療法を理解していく上で重要となるのが瞼の基本的な構造です。構造を知らずして眼瞼下垂の手術を知ることはできません。なのでここでは瞼の中身、基本的な構造についてご紹介します。
│瞼の基本構造
瞼の中身、基本的な構造ですが、瞼板を中心とし眼輪筋、眼瞼挙筋、挙筋腱膜、眼窩脂肪などで構成されています。
1)瞼板(けんばん)
まぶたの開閉に大きく関係しているのが瞼板です。あまり聞き慣れた言葉じゃないかもしれませんが、非常に大切な瞼の組織の一つです。
軟骨のような少し硬めの組織で、目を開ける動作というのは、この瞼板が持ち上げられることによって始めて成立します。眼瞼下垂の状態というのは、この瞼板が何かの理由、原因によってしっかりと持ち上げることができない状態を言います。
2)眼輪筋(がんりんきん)
まぶた周囲全体を覆う筋肉ですが、皆さんが思い浮かべる「運動筋(可動筋)」とは違い、目の開閉動作においては閉じる動作が主な働きとなる筋肉です。目をギュッと閉じるときに動く・働く筋肉とお考えください。
3)眼瞼挙筋(がんけんきょきん)
眼瞼挙筋というのが眼瞼下垂の直接的な原因となるもので非常に大切な組織です。
目を開ける動作というのは、この眼瞼挙筋が収縮して瞼板を持ち上げることで目が開きます。ですので眼瞼下垂というのは、眼瞼挙筋そのものの動きに問題がある場合と、眼瞼挙筋に問題がなくても、眼瞼挙筋と瞼板との接続がしっかりしていない、弛んでしまっている状態だと、筋肉は正常であっても瞼をしっかりと持ち下げることができず、眼瞼下垂の症状を引き起こしてします。
また、眼瞼挙筋にはミュラー筋と呼ばれる小さな筋肉が付随しています。ミュラー筋は交感神経が緊張することで縮み、まぶたを持ち上げる動作の補助をします。(腱膜性)眼瞼下垂症になると、それまで以上にミュラー筋を収縮させてしまうため、交感神経が常に興奮してしまうことがあります。そのため動悸がしたり、体を支える起立筋が過緊張するため首筋や肩や背中の筋肉が凝ったりします。また、そういった緊張状態が継続するため、不安や疲労感を感じやすくなります。
4)眼窩脂肪(がんかしぼう)・Roof
眼窩脂肪は眼球を外部の衝撃から保護するためにあると言われています。この眼窩脂肪が多いとまぶたが厚ぼったくなることもあります。また、眼窩脂肪が少なくても厚ぼったい目元の方はRoofと呼ばれる隔膜前脂肪が多いタイプの目元です。
5)挙筋腱膜(きょきんけんまく)
瞼板と挙筋との結合に深い関わりを持っている組織が挙筋腱膜という組織です。
この挙筋腱膜の有無で一重、二重まぶたが決定します。
挙筋腱膜と瞼板との癒着が緩んでしまったり、剥がれてしまったりすると瞼板をしっかりと持ち上げることができず、目がしっかりと開かない「眼瞼下垂」という状態に陥ったことになります。
│一重まぶたの構造
一重まぶたも二重まぶたの構造も基本的には同じです。瞼の中で瞼板、眼瞼挙筋が繋がっていて、眼瞼挙筋が収縮すると瞼板が持ち上げられ「目が開く」という動作が始まります。
そこで一重まぶたの場合、瞼板だけが持ち上げられ、瞼の皮膚は持ち上げられないため、皮膚が垂れ下がってしまい一重まぶたとなってしまいます。
│二重まぶたの構造
二重まぶたの場合は、眼瞼挙筋が収縮して、瞼板が持ち上げられると同時に瞼の皮膚も持ち上げられるため二重瞼として表現されます。二重瞼の場合、挙筋腱膜(眼窩隔膜)と皮膚との間に癒着が起こっていて、瞼板を持ち上げると同時に、皮膚まで持ち上げられるため二重瞼ができるのです。
挙筋腱膜が皮膚まで伸びずにいた場合、眼瞼下垂を引き起こしてしまいます。