「目が小さくなってきた。夕方になると、どうしても目が重く感じる。しっかり目を開けているつもりなのに、周りから『眠そう』『疲れてる?』と言われることが増えた……。」
そんな違和感を感じたことはありませんか?
また、鏡を見た時に「昔より目が小さくなった」「おでこのシワが深くなってきた」と気になり始めている方も少なくありません。
実は、これらの悩みは単なる疲れや加齢だけではなく、まぶたの構造に変化が起きているサインかもしれません。
上まぶたが下がって、視界が遮られてしまう状態を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と呼びます。これは単に見た目の変化にとどまらず、無意識にまぶたを持ち上げようとして、慢性的な頭痛や肩こり、眼精疲労といった全身の不調につながっているケースも多いのです。
「自分は眼瞼下垂なのだろうか?」「もしそうなら、どう治せばいいのか?」
ここでは、眼瞼下垂のメカニズムから、現れている症状、そして自分に合った治療法を見つけるためのステップまで、順を追って詳しくご紹介します。
まずは、あなたのまぶたに今、どのようなことが起きているのかを一緒に確認していきましょう。
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂の症状
眼瞼下垂の種類
眼瞼下垂の治療方法
がん瞼けん下か垂すいは、まぶたが下がってきて見にくくなる病態です。いつも眠たそうに見えたり、 肩こりや頭痛の原因になることもあります。 中には、生まれつきの眼瞼下垂のために弱視 が懸念される患者さんもおられます。
昨今、眼瞼下垂が広く認知されるようになり、手術を受ける患者さんも多くなりました。しかし、眼瞼下垂に対する手術は決してやさしいものではありません。まぶたの高さや形、左右差など、術後に予測し難い経過をたどるのが常で、一筋縄ではゆきません。
本冊子では眼瞼下垂に関する概略を説明しました。本冊子によって、眼瞼下垂に関する理解を深めていただければ幸いです。
ーーー眼瞼下垂の種類
眼瞼下垂は、まぶたが下がってきて見にくくなる病態です。その原因は、上まぶたを上げる筋肉の力が弱くなったり、その付着部である腱けんが弱くなったり、はがれたり、また、穴が開いたりすることです。症状は見にくさの他、眠そう、肩こり、頭痛、疲れる、などがあります。
眼瞼下垂は大まかに三つに分類することができます。一つめは生まれつきの眼瞼下垂、二つめは大人になってからなる眼瞼下垂、三つめは眼瞼下垂にみえるのだけれどもまぶたを上げる筋肉や腱には異状のない偽にせ眼瞼下垂です。
患者さんの症状は共通ですが、その病態によって治療法が変わってくるので、正しく病態を理解しておくことが大切です。
眼瞼下垂の症状,眠そうにみえる,物が見えにくい,肩こり,頭痛,疲れやすいなど
多くの眼瞼下垂に対する治療は手術です。単にまぶたを上げる筋肉の付着部が弱くなったり、はがれたり、穴が開いたりしている場合には、それを補強したり修復したりするだけですみます。しかし、筋肉自体の力が弱くなっている場合やまぶたを上げる神経が麻痺している場合には、おでこの力を利用して、眉の部分とまぶたの間にトンネルを作って、そこに人工の素材や筋膜を通してつり上げます。
偽眼瞼下垂では、まぶたを上げる筋肉や腱には異 状がないので、それぞれの原因に対する治療を行います。
手術的にまぶたを上げること自体はさほど難しいことではありません。しかし、形や左右のバランスを整えたり、眼の表面に対する配慮が必要となるなど、眼瞼下垂に対する手術はなかなか骨の折れる手術です。
生まれつきの眼瞼下垂
生まれつきの眼瞼下垂のほとんどは「単純性眼瞼 下垂」といわれるものです。原因はまぶたを上げる筋肉がうまく発達せず、代わりに硬くて伸びにくい線維組織が多く混じってしまうことです。
生まれつきの眼瞼下垂では通常、眼瞼下垂以外のまぶたの異常や眼の動きの異常を伴いませんが、特に片側が眼瞼下垂の患者さんでは、弱視を生じることがあります。そのようなケースでは、弱視の予防のために、厳重な経過観察を行ったり、場合によっては赤ちゃんのうちに手術をしなければならないことがあります。
ただし、あごや眉を上げて見ようと努力している 場合は、多くで視機能の発達は正常であり、小さいうちに手術をする必要がない場合がほとんどです。
弱視の予防のために手術しましょう
その他、問題になるのは「マーカスガン」とよばれるタイプの眼瞼下垂です。これはまぶたを上げる筋肉と、口を開けたり、左右に動かしたりする筋肉が神経的につながってしまい、このような動きでまぶたが上下してしまう状態です。多くは片側だけで、何もしない時にはまぶたは下がっていることがほとんどです。視機能の発達に影響を与えることはありませんが、自然に治ることは極めてまれです。
しかし、幼稚園や小学校の給食の時に、かむたびにまぶたが上下することから、からかわれたり、いじめられることがあるため、社会的対応の点から手術を行うことがあります。症状のないほうの顎あごでかむ習慣をつければ、症状を抑えて見せることは可能 です。
大人になってからなる眼瞼下垂
大人になってからなる眼瞼下垂のほとんどは加齢の影響によるものです。ハードコンタクトレンズを長年つけていた方や眼を開ける器械を使って眼の手術を行った方にも起こりやすい症状です。
まぶたを上げる筋肉の力はほぼ正常なのですが、筋肉がまぶたに付着する腱の部分が弱くなったり、はがれたり、穴が開いたりすることが原因と考えられています。
加齢による眼瞼下垂,正常な状態,軽度の下垂,中程度の下垂,重度の下垂
その他、大人になってから生じる眼瞼下垂には以下のようなものがあります。
●緑内障薬長期点眼後 : 特にプロスタグランジン点眼の長期使用後に起こりやすく、閉じる力も少し弱くなっています。
●動眼神経麻痺 : 脳こうそくなどで、まぶたを上げる神経が麻痺した状態です。
●重症筋無力症 : 神経と筋肉の接続部で神経の刺激がうまく筋肉に届かない病気です。
●外眼筋の変性 : まぶたを上げる筋肉自体が弱くなってしまった状態で、遺伝的なものが多くみられます。心臓の病気や難聴など、その他の全身の病気を伴うこともあります。
●ホルネル症候群 : まぶたを上げる神経の一つ、交感神経がうまく働かなくなった時に起こる眼瞼下垂です。
●外傷後 : 直接的に、まぶたを上げる筋肉や腱が切れたり、神経が麻痺した状態です。切れた組織を修復したあと、半年は経過を観察します。
●腫瘍や異物によってまぶたが押し下げられた眼瞼下垂 : それぞれの治療を行います。
●神経麻痺薬のボツリヌス毒素の注入後 : 3~4か月待てば、元に戻ります。
眼瞼下垂に似た偽眼瞼下垂
まぶたを開けようと思えばしっかり開くのですが、皮がたるんだり、すぼめて見たり、また、眼がへこんでしまってまぶたが下がって見える状態です。
まぶたを上げる筋肉や腱自体には問題がないため、 偽眼瞼下垂といわれます。治療はそれぞれの原因に対して行います。
偽眼瞼下垂の原因と治療
●まぶたの皮のたるみ : 加齢のためにまぶたの皮膚がたるんでしまい、それがまぶたのふちをこえてしまった状態です。治療はたるんだ皮の切除です。
●眉下垂 : 顔面神経麻痺後や加齢によって、眉が下がってしまった状態です。眉を上げて固定する手術を行います。
●眼瞼けいれん : まぶたを閉じる力が強くなりすぎて、眼が開けにくい状態です。まぶたにだけ症状 がある場合と、顔の半分全体に症状がある場合があります。治療は通常、ボツリヌス毒素の注射やまぶたの手術を行いますが、動脈瘤が原因となっている場合にはその治療を行います。
まぶたが下がってきたみたい 挿絵
●無眼球・小眼球 : 義眼がうまく入るような手術を 行います。
●眼の周りの骨折 : 骨折の整復手術を行います。
●甲状腺眼症で眼が下を向いてしまい、上まぶたがつられて下がってしまった場合 : 眼を正面に向ける手術を行います。
●甲状腺眼症で片方の目が大きく見ひらいて、反対側が下がって見える場合 : 大きく開いた方のまぶたを下げる手術を行います。
●外斜視の片目つむり : 外斜視ではしばしば患者は片目をつぶっており、反対側が眼瞼下垂のようにみえます。治療は斜視の手術です。
眼瞼下垂の手術(1)
まぶたを上げる筋肉の付着部の強化・修復は、この部分が弱くなったり、はがれたり、また、穴があいてしまった場合に行います。
この付着部は2層に分かれており、一つは上じょう眼がん瞼けん挙きょ筋きんという筋肉の腱、もう一つはミュラー筋といって交感神経に支配されている筋肉です。怒ったり、興奮したりした時に眼が大きく見開いたり、眠たい時にまぶたが下がってくるのは、このミュラー筋の緊張が変化するためです。
まぶたの断面図
眼球の図
まぶたを上げる筋肉の付着部の強化・修復では、上眼瞼挙筋の腱やミュラー筋を同時に、または別々にはがして、短縮・固定します。これには大きく分けて、皮膚を切って行う方法とまぶたを裏返して結膜を切って行う方法があります。
皮膚を切って行う方法
切開した皮膚の部分は二重まぶたの線になるため、 傷は目立ちません。また、術中の定量やきれいなカーブの作成を容易に行うことができ、たるんだ皮膚の同時切除も可能です。
結膜からの方法
皮膚に傷がつかないという利点はありますが、手術中の定量やきれいなカーブの作成がやや困難で、 たるんだ皮膚の切除が必要な場合は、結局、皮膚を切らなくてはなりません。また、眼に接する結膜を切開するので、その部分が眼を傷つけてしまうこと があり、このため、最近はあまり行われなくなってきました。これを克服する目的で、結膜に小さな穴をあけ、そこに糸を通して上眼瞼挙筋の腱やミュラー筋をたくし上げる方法も行われるようになってきま した。
眼瞼下垂の手術(2)
つりあげ術は、まぶたを上げる筋肉の動きが悪い時やその筋肉を支配する神経の麻痺がある場合に行います。おでこの筋肉の収縮がまぶたを上げる作用をもつため、眉の部分とまぶたの間にトンネルを作り、そこに人工の素材や筋膜を通してつり上げます。
以前は太ももの外側にある筋肉の膜をとって使用していましたが、その筋膜が収縮して硬くなったり、採取部位の合併症を起こす危険性があるため、眼科ではほとんど行われません。これらの欠点を克服すべく、眼科では人工素材を用いて手術を行います。
偽眼瞼下垂の原因と治療
筋膜も人工素材も感染や露出の危険性は小さいのですが、両者を比べた場合、人工素材の方がやや分が悪い状況です。しかし、筋膜は広範に収縮して硬くなり、修正が必要な場合には、困難を極めるため、全体としてみれば人工素材の方が有利といえます。
手術では、眉の上方を1cmぐらい、また、下方で二重まぶたを作るぐらいの部位を2cmぐらい横方向に切って、その間にトンネルを作り、つりあげ材を通します。つりあげ材は、幅7~8mmの短冊状のシートを「人」の字型に加工して、上部を眉の奥の方に、下の二股の部分をまぶたの下部に固定します。これはかなり効果的な方法ですが侵襲が大きいため、子供の弱視予防の目的で行う場合には、単純に糸で縫い上げる方法で行うこともあります。
つりあげ術をする場合。・まぶたを上げる筋肉の動きが悪い場合・まぶたを上げる筋肉を支配する神経に麻痺がある場合
手術にあたって知っておくべきこと
眼瞼下垂手術の目的は、まぶたの観点から視機能を改善することにあるので、手術後に不都合なことが起こらないようにする配慮が必要です。以下、手術にあたって知っておくべきことを述べます。
◎多くの場合で頭痛や肩こりは改善しますが、そうでないこともあります。また、手術後に自律神経の不調を訴えることがあります。この場合には痛み止めや安定剤などの内服で対処します。
◎白内障手術やレーシック手術と眼瞼下垂手術を予定している場合、眼瞼下垂手術をまず先に行うべきです。眼瞼下垂手術を行うと乱視などの眼の屈折状態が変化して見にくくなることがあるためです。通常は手術後半年ぐらいで改善します。
◎眼瞼下垂の手術を行うと、眼が大きく開いて涙が蒸発しやすくなり、また、涙を排出するポンプ機能が改善されるため、眼が乾き気味になります。これも大部分で、手術後半年ぐらいで改善してきます。
◎手術中に眼の開きの左右差がなく、適切な形であったにもかかわらず、抜糸の時には左右差があったり、三角目になったりしていることがあります。この場合には、手術後2週間以内か半年以降に修正手術を行います。
◎片方の手術を行ったあとで、反対側の、正常に見えた方のまぶたが下がることがあります。手術前に左右差がある両側の眼瞼下垂では両側同時に手術を行った方が無難です。
◎手術後に眉が下がってきて皮取りの手術を追加しなくてはらないことがあります。
終わりに
「眼瞼下垂」とひとことで言っても、その種類や症状の多様さ、治療法のバリエーション、手術にあたって知っておかなくてはならないこと等、一筋縄でいかない複雑な病態であることがおわかり頂けたかと思います。
眼科医は、眼瞼下垂の治療にあたってその効果を最大限に引き出し、手術後の合併症をより少なくするよう、日々、努力しています。患者さんと医師とが、眼瞼下垂に対する適切な理解を双方向性に共有することによって、最善の治療が実現できると信じています。本冊子がその一助となれば幸いです。
… がんけん 年齢を重ねるにしたがって、まぶた(眼瞼)が垂れ下がり、視界がさえぎられるために
ひたい
日常生活が不自由になったり、額(おでこ)の筋肉を緊張させて目を見開こうとすること がんけんか す い
が習慣になって慢性的な頭痛や肩こりの原因になることがあります。これは、眼瞼下垂と まゆ
呼ばれ、眼科や形成外科領域の手術の対象になります。眼瞼下垂になると、眉の上の筋肉
(前頭筋)で目を開けようとするため、額にしわができやすくなり、頭痛や肩こりの原因 のひとつにもなります。最近では、この眼瞼下垂がさまざまな全身症状や自律神経異常の 引き金になるともいわれています。眼瞼下垂の手術で視野が明るくなり、頭痛や肩こりな どの症状も改善する方もおられます。
上まぶたが上がらず、目が 十分に開きにくく垂れ下がっ たままの状態を「眼瞼下垂」 と呼んでいます。眼瞼下垂が 原因で、しばしば「まぶたが 重くて目を開けられない」、 「物が二重に見える」、「人と
おっくう 話をするのが億劫になる」、
「目の奥に違和感を覚える」、 最近では「美容的に格好悪い」 などの症状で医療機関を受 診する人が多くなっていま す。
がんけんきょきん 眼瞼挙筋という筋肉が上
眼瞼挙筋;目の開閉に必要な筋肉
眼窩脂肪;外部の衝撃から眼球を保護する役割
挙筋腱膜;瞼板と挙筋との結合に関与している組織
眼輪筋 ;眼の周囲全体をおおう筋肉で、目を閉じる時に働く筋肉
瞼板 ;瞼板や眼瞼挙筋と密接に連携し、まぶたの開閉に必要な組織
…
まぶたを上げるのに必要な
筋肉で、その筋肉を動かすの どうがんしんけい
は動眼神経という神経です。
眼瞼挙筋という筋肉か、または動眼神経のどちらかに異常が起こると眼瞼下垂という状態 あご
が起こります。眼瞼下垂になると、顎を上げて物を見ようとする姿勢をとったり、さらに まゆげ … ..
進むと指で眉毛や眼瞼を持ち上げるしぐさをする人もいます。このため、額にはしわが寄 り、眉毛が上がったりするようになります。
2.眼瞼下垂の種類
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片方の眼瞼下垂の場合は比較的簡単に判断できますが、両方の場合にはその判断に迷う
こともあります。眼瞼下垂の発症には多くの原因が考えられておりますが、生まれた時か せんてんせい
ら眼瞼挙筋や動眼神経に何らかの障害をともなった先天性眼瞼下垂と、加齢などによって こうてんせい
起こる筋肉や皮膚のゆるみが原因となって起こる後天性眼瞼下垂の2通りに分けられま す。
1)先天性眼瞼下垂 後天性に比べて先天性の眼瞼下垂が多く、その多くは眼瞼挙筋の形成・発育不全で起
… …
こるといわれています。両まぶたのこともありますが、ふつうは片方のまぶたに多くみ じゃくし
られます。また遺伝によることもあります。眼瞼下垂が高度の場合は、弱視になってし まう危険があるので6歳になる頃までに早めに手術する必要があります。
2)後天性眼瞼下垂
けんまく 後天性の眼瞼下垂は、眼瞼を引っ張り上げる腱膜に異常がある腱膜性、筋肉そのもの
きんげんせい しんけいげんせい に異常がある筋原性、筋肉を支配する神経に異常がある神経原性に分けることができま
す。 年齢を重ねると、少なからず眼瞼挙筋の筋力が徐々に低下して皮膚がゆるみ、ついに
は日常生活に負担をきたすような腱膜性の眼瞼下垂が起こることがあります。また最近
では、コンタクトレンズを長期にわたり装用したり、過剰なメイクやアトピーなどの皮
膚疾患によって眼瞼下垂がもたらされたり、パソコン業務などで長時間にわたって目を
酷使してしまうためにおこることもまれではありません。また脳梗塞をはじめとした脳
卒中の後遺症や脳動脈瘤・くも膜下出血などの頭蓋内疾患、まぶたや目の周囲の腫瘍や 炎症でも起こることもあります。
じゅうしょうきんむりょくしょう 筋肉そのものに異常がある筋原性眼瞼下垂を代表する病気に「重症筋無力症」があ
ります。重症筋無力症には全身の力がなくなって動きにくくなる全身型と、おもに目の
…
周りの筋肉の力が弱くなって「まぶたが下がって目が開けづらい」、「物が二重に見える」 などの眼瞼下垂の症状があらわれる眼筋型の 2 種類があります。これらの病気では神経 内科や脳神経外科など、専門医の診断を仰ぐ必要があります。
3.眼瞼下垂の治療
…
…
眼瞼下垂のうち手術適応となるものは、まぶたをつり上げる眼瞼挙筋の機能が低下し ている腱膜性眼瞼下垂という症状です。
1)先天性眼瞼下垂
先天性眼瞼下垂は眼瞼挙筋の形成・発育不全で起こると考えられているため、眼瞼挙 筋がどれくらい機能しているのかによって治療方法が異なってきます。
(1)眼瞼挙筋の機能が残っている場合
1挙筋前転法
挙筋前転法は、筋肉を傷つけずに瞼板と挙筋腱膜を固定する治療法で、眼瞼挙 筋の機能が残っている眼瞼下垂には最も適した治療法です。次に示す挙筋短縮 法に比べて優れた技術と豊富な経験が必要な治療です。
2挙筋短縮法
2
眼瞼挙筋を直接切除し短縮する方法で、以前はこの治療法が圧倒的に多く選択 されていました。しかしながら、大切な筋肉を傷つける手術法であり、前述の 挙筋前転法で改善できない場合に実施される最終的な治療法とされています。
(2)眼瞼挙筋の機能が残っていない場合(筋膜移植法)
だいたいきんまくちょうきんけん 眼瞼挙筋の機能がない場合は、大腿にある大腿筋膜張筋腱という組織を使って、
眼瞼に移植する治療法です。
2)後天性眼瞼下垂
(1)脳梗塞後遺症の場合 脳梗塞の後遺症として起きた眼瞼下垂は、自然に回復することも多いので数カ月 間様子をみます。
(2)重症筋無力症の場合
重症筋無力症に見られる眼瞼下垂では一般に薬物療法を行います。
(3)老人性眼瞼下垂の場合 老人性眼瞼下垂の場合は眼瞼挙筋の筋力低下や皮膚のゆるみが原因ですが、筋肉 の処理はせず、ゆるんだ皮膚を切除するだけで目が開き視野が確保できるように なるため、比較的多くの医療施設で実施されている手術です。
(4)その他 眼瞼下垂の程度や眼瞼挙筋の残された機能の状況で手術方法が選択されます(前述)。
1挙筋前転法
2挙筋短縮法
4.まとめ
眼瞼下垂という状態に気づいたら、まず眼科を受診してみてください。しかし急激に眼 瞼下垂が起こった場合にはくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤のこともあり、また重度の 重症筋無力症では呼吸困難が出現し、生命の危険に脅かされることもあるので注意をしま しょう。眼瞼下垂の原因により治療法が違ってくるので早めの受診を心がけてください。
眼瞼下垂の手術は美容外科での対応となり保険適用外で高額の治療費がかかると考え られがちですが、視野障害をともなう眼瞼下垂は保険適応であり、手術は意外と低料金で 受けることが可能です。
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